平成12年 2月23日

精神科の隔離・拘束に関する改善状況について

---現在は完全に改善されています---


 去る平成10年5月15日当院精神科で拘束中の患者が死亡するという事件が起きました。この件について7月2日新潟県の立ち入り調査があり、さらに関東信越地区地方医務局(7.29)、新潟県精神病院実地指導(8.10)、厚生本省・地方医務局実地指導(8.19)がありました。その後同年9月24日の朝日新聞に大々的に報道されるにつれ、翌9月25日新潟県から患者の行動制限(隔離・拘束)関して改善命令をうけました。
 その後厚生省(現厚生労働省)政策医療課(10.9)、法務局の聞き取り調査(10.13)、上越保健所の実態調査(10.16)など度重なる調査・指導を受け、そして最終的には厚生省(現厚生労働省)大臣官房障害保健福祉部の立ち入り調査(11.26)があり、その結果残念ながら平成11年3月24日、2名の指定医の資格が取り消されました。  このような事態を引き起こしたことに関して、関係各方面に多大なご迷惑とご心配をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。またこの事故は国立医療機関として国民の信頼の失墜につながるものとして、重く受け止めるとともに深く反省するところでもあります。
 その後、厚生省(現厚生労働省)、県の調査・指導を受けながら、院内に特別調査委員会を設置し、本件の背景と原因の分析ならびに再発防止に努力してまいりました。特に患者の人権に対する配慮や診療体制をもう一度見直し、隔離拘束がやむを得ない処置であるかどうか、それが適切に行われているかについての行動制限検討会を定期的に開くことにしました。隔離拘束に関してはマニュアルを作成し、それが機能しているかどうか院内で診療録を互いにチェックする体制をとりました。施設長と看護部長の病棟回診、管理回診ならびに病棟での症例検討会を通して精神科医療の質と内容を高め、病棟管理医師制度を導入し、各病棟の責任体制を明確にすると同時に、精神科指定医の当番制を導入して緊急時に備える事としました。看護部、医事課でも連絡体制等の見直しを行いました。すなわち看護部では改めて精神保健福祉法の勉強会を全員対象に開始し、隔離・拘束例や事故発生の情報が直ちに病院幹部に伝わるようにすること、医事課では精神科入院手続きの確認伝票の作成、定期病状報告等各種書類の遅延を防ぐための原簿の作成、台帳の整理などを行いました。
 病院全体では平成10年度院内研究発表会(平成11年2月10日)で「さいがた病院の精神医療をどうやっていくか」と題してシンポジウムを行い、また引き続き平成11年度院内研究発表会(平成11年10月13日)では、「これからのさいがた病院の医療について―精神保健法違反について―」と題して医局、看護部、事務部代表による発表会をおこない、幹部・一般職員も交えて徹底的に議論しました。
 平成10年10月19日、県の確認調査があり、その結果口答ではありますが、「概ね努力して改善されている」という講評を得、さらにその後平成11年1月26日県の精神病院実地指導があり、「ほぼ完全に改善されており、特にこれ以上の指導はない」との評価を得ております。
 事実隔離・拘束の件数は以前に比較して著しく減少しました。ちなみに平成10年1月からの6ヶ月間の件数と平成10年1月からの6ヶ月間、および平成11年4月からの6ヶ月を比較すると、隔離についてはそれぞれ30%、19%にまで減少し、拘束件数については12.5%、2.8%と著しく改善されました。精神科以外の重心病棟での拘束も見なおし、抑制帯などでの拘束は現在ほとんどなくなりました。これは看護はじめ病院スタッフの改善に対する意欲の証しと思っております。 また今後とも引き続き院内体制の見直しを行い、人権に配慮した患者中心の診療体制を確立するため最大限の努力をしてまいる所存であります。
 ここに今回の改善命令に対する病院の対応と経緯ならびにその後の経過をご報告すると同時に、現在は患者の人権に最も配慮している病院として立ち直っていることを報告し、関係各位のご理解を頂きたくお願い致します。
独立行政法人国立病院機構さいがた病院院長